
調律師ならではの視点で、ピアノ購入のご相談を承っております。
後悔しないピアノ選びをするには、多くのピアノに触れることが大切です。 ヤマハ、カワイ、スタインウェイ、ボストン、ディアパソン、ペトロフ、等々の国内外の各メーカー、様々な機種のグランドピアノ、アップライトピアノをご紹介します。
ピアノ・レビュー 
【ピアノ購入の前に、これだけは知っておきましょう!】
・タッチは重いほうが良いの?軽い方が良いの?
・ピアノのサイズ(長さ・高さ)による、構造と音質の違いは?
・外国産の高級ピアノにも触れてみましょう
(良い音色、優れたタッチのピアノとは何か、実感しないまま、勘違いでピアノ選んでしまう方が多いので、良いピアノに触れてみることは非常に大切です。)
・輸入ピアノは、本当に良い物?
(低価格から高級ピアノまで、様々な輸入ピアノ。 国産ピアノとは違った魅力もありますが、響きだけで選んで大丈夫でしょうか? 今後のメンテナンスについても確認してください。)
・ネット上の噂や評判は当てになりません。
(主観は人それぞれによって、違います。自分のイメージとは異なるかもしれません。ネット上の不可思議な噂に惑わされないで、複数の専門家にアドバイスを聞くことが大切です。)
・自分の出したい音色が出せる、音色豊かなピアノを選びましょう。
・調律師によって、音とタッチが変わります。
・調整の状態が良いピアノを買いましょう。
(同じ機種でも、1台1台の個体差が多く、タッチ感、音色にバラツキがある)
【設置場所について】
・ピアノの設置場所を検討しましょう(グランドもアップライトも横幅は150cm前後。)
・アップライトの高さは110〜132cm程度
(高さがあるピアノでも、カバーをかければ見た目の圧迫感は軽減されます)
■ スタインウェイ設計の”ボストン”ピアノ
ボストンピアノ(Boston)は、ピアノの王者スタインウェイ社の特許や設計思想を継承し、余韻の長い伸びやかな音を実現したピアノです。
ボストンピアノの特徴一覧
響板には木目のつまった無垢のシトカスプルースを厳選。 弦の張力を支えるピンブロックには、アメリカ・ウイスコシン州産の堅木メープル材を利用し、チューニングピンをしっかりと保持しています。
ボストンピアノの音は、重厚感がある低音、高音の華やかな響きが魅力的で、倍音なピアノです。 スタインウェイはドイツ・ハンブルグ製とアメリカ・ニューヨーク製がありますが、ボストンピアノはニューヨーク製のスタインウェイに近い印象がすると私は思います。 このボストンピアノの特性を十分に理解した技術者が調律・調整をすると、音の立ち上がりが良く、倍音を多く含んだ余韻の美しいピアノに仕上がります。 音色変化に富んでいて、力強いリズムから、ロマンチックなメロディーまで、自在にコントロールできます。 また、アップライトも響きが良く、弾きやすいピアノです。
価格は国産の主要ピアノよりも若干割高ですが、それだけの価値はあると思います。 スタインウェイのような高級ピアノには手が出ないけれど、国産の良いピアノをお探しの方や、コンサートホールのピアノに近い感覚で練習したい上級者にも最適なピアノです。
ボストンのグランドピアノは設計の工夫により、他社の同サイズのグランドピアノと比べて、ワンランク上の豊かな音色の低音を奏でることができます。また、大型から小型まで同じ良質な素材を利用しているので、小型ピアノでも良質なピアノが欲しい方にもお奨めのピアノです。
ボストンピアノは、国内(河合楽器)で製造され、出荷調整はスタインウェイの子会社であるスタインウェイジャパンが、販売はスタインウェイ特約店が行っており、スタインウェイピアノと全く同じ管理のもと、納品されている点が特徴です。 つまり、仕上の調整作業が入念に実施されていることが、このピアノの最大のポイントなのですから、調整不足の場合は、ボストンピアノの魅力が半減しているといっても過言ではありません。 選定の際は調整レベルが高いピアノに仕上がっているかどうか確認してください。
”スタインウェイ・プロミス”
新品のボストンピアノ購入から10年以内にスタインウェイグランドピアノに買い替える場合、購入価格で下取りしてくれるので、将来はスタインウェイという方も、まずはボストンピアノから始めることができます。
http://www.steinway.co.jp/
■ ヤマハ
 
優れた基本設計と高い品質。
ヤマハは、世界で最も生産台数の多いピアノメーカーです。
グランドピアノ |
機種 |
奥行(cm) |
|
機種 |
奥行(cm) |
A1L |
149 |
C6 |
212 |
C1 |
161 |
C6XA |
212 |
C2 |
173 |
C7 |
227 |
C3 |
186 |
S4B |
191 |
C3XA |
186 |
S6B |
212 |
C5 |
200 |
CFVS |
275 |
※XAシリーズ(新製品)は明るい音色と深みのある音色を併せ持っており、低音と高音のバランスが良い機種です。
アップライトピアノ |
|
機種 |
高さ |
重量 |
ハンマー |
トーン
エスケープ |
白鍵 |
黒鍵 |
ソステヌート
ペダル |
YM |
YM5
|
121cm |
215 |
YM用 |
- |
アクリル |
フェノール |
- |
YU |
YU11 |
121cm |
228 |
YU用 |
- |
YU33 |
131cm |
246 |
YUS |
YUS1 |
121cm |
229 |
グランドピアノ仕様 |
○ |
YUS3 |
131cm |
247 |
YUS5 |
131cm |
253 |
○ |
人工象牙 |
天然木 |
○ |
SU |
SU7 |
131cm |
273 |
コンサートグランド
ピアノ仕様 |
○ |
象牙 |
黒檀 |
○ |
明るめの音色を好む方に向いているピアノです。 音色の豊かさや、出荷調整レベルの違い等もあり、YMやYUよりもYUSシリーズをお奨めします。
■ ディアパソン(DIAPASON)
 
ディアパソン(DIAPASON)は、ピアノ作りの名工”大橋幡岩”が昭和23年に、その第一号を完成させた国産ピアノメーカーです。 現在は、河合楽器の系列として、少量生産されています。 ディアパソンを知らなかった方でも、実際にピアノに触れてみると、豊かな音質に魅了される方が多いとか…。
【ディアパソンピアノの特徴】
・木製アクション、レンナー社製ハンマー
・「総一本張り」の張弦方式
 手作りを主流とするヨーロッパの名品ピアノの1部にも採用されている「総一本張り」の張弦方式は、高度な技術と多大な時間を要することから、国産ピアノではこのディアパソンだけが採用しています。 この一本張りにより、張弦時における弦のねじれや、2音にまたがる張力の不均衡を完全に阻止し、クリアでひろがりのある響きを可能にしています。 ディアパソンピアノは、レスポンスが良く、純粋でクリアな響きがして、弾いてみれば驚かれると思います。
(写真)「総一本張り」 弦の末端を一つ一つ丁寧に玉止めしている。
また、ディアパソンのグランドピアノは、機種によってサイズだけではなく、支柱の構造や弦の張り方、鉄骨の構造が異なっていて、それぞれに個性があるのが特徴です。 DR-300は、ヨーロッパの伝統的な工法に似た支柱の構造で、純粋でクリアな響きがします。 DR-500は、近代的な支柱の構造や、厚みのある鉄骨フレーム、アリコート方式の採用により、ディアパソンの特徴を生かしながらも、華やかな高音と、包み込むような豊かな低音の響きがします。サロンや、ホームコンサートにも最適な一台だと思います。
そして、ディアパソンピアノの最大のポイントは、「少量生産」の為、技師による管理が行き届いている点です。 最近のピアノは出荷調整不足のピアノが多い中、ディアパソンの少量生産の特徴を生かし、一台一台入念に調整され、ひたすらに理想のピアノを作り続けているという、メーカーの姿勢は高く評価できます。
【ディアパソン・グランドピアノ】
|
奥行(cm)
|
ハンマー |
張弦方式 |
弦 |
鍵盤 |
D-164 |
164 |
特製ハンマー |
|
レスロー |
人口象牙・
人口黒檀 |
D-164R |
ロイヤルジョージ |
|
DR-30 |
178 |
レンナー(ドイツ製) |
|
D-183 |
183 |
高級特製 |
|
DR-5 |
レンナー(ドイツ製) |
|
DR-300 |
一本張 |
DR-300
記念モデル |
象牙・黒檀鍵盤
|
DR-211 |
211 |
レンナー(ドイツ製) |
|
人口象牙・
人口黒檀 |
DR-500 |
一本張
アリコート |
【ディアパソン・アップライトピアノ(一部)】
|
高さ(cm)
|
ハンマー |
張弦方式 |
鍵盤 |
DN-48 |
125 |
ロイヤルジョージ |
|
人口象牙・
人口黒檀 |
DL-125 |
ロイヤルジョージ |
|
DL-132 |
132 |
レンナーP5マホガニー(ドイツ製) |
アリコート |
DR-86 |
レンナーP5マホガニー(ドイツ製) |
(写真)ディアパソンのアップライトピアノの背面。
http://www.diapason.co.jp/
■ スタインウェイ(STEINWAY&SONS)
ドイツ・ハンブルグおよびアメリカ・ニューヨークの工場で生産されているスタインウェイは、数々のピアニストが愛用する、言わずと知れた名器です。
創業者であるハインリヒ・エンゲルハルト・シュタイウェグ一家がドイツからアメリカへ移住し、1853年ニューヨークにスタインウェイ・アンド・サンズ社を創立。1880年にはドイツ・ハンブルグ工場を設立しました。 現在、日本に輸入されているスタインウェイは主にハンブルグ製。 (ニューヨーク製は特別注文) スタインウェイと他のピアノを弾き比べていただくと、改めてこのピアノの偉大さが実感できます。
http://www.steinway.co.jp/
■ スタインウェイ設計の”エセックス”ピアノ
Essex(エセックス)ピアノは、スタインウェイ社が設計、技術援助、生産管理を行うピアノで、製造はYoung ChangおよびPearl River社で行っています。 特にアップライトピアノは、サペリ・マホガニー、カワジンガ・ブビンガ、チェリー等の木地仕上げのデザインに凝ったピアノを豊富にラインナップしていますので、デザインに凝ったピアノをお探しの方に最適です。
上記のボストンピアノが、音大生やピアノの先生方向けのピアノで、エセックスピアノは、インテリア性や価格も重視する一般家庭にも向いているピアノです。 価格は国産の主要ピアノと対抗できる価格帯で、デザインも豊富にラインナップされていて、ピアノ選びの幅が広がりました。
  【エセックス・グランドピアノ(一部)】
・EGP−155Cクラシック
(黒色艶出119万、ウオールナット129万)
・EGP−173Cクラシック
(黒色艶出158万、マホガニー169万)
【エセックス・アップライトピアノ(一部)】
・EUP-111Eクラシック 57万、(白色艶出60万)
・EUP-116Eクラシック 66万
・EUP-123Eクラシック 70万、(マホガニー艶消75万)
・EUP-116FFフォーマル・フレンチ (レッドチェーリー78万)
・フレンチ、イングリッシュカントリー、イタリアンプロヴィンシャル、クイーンアン、エンパイアステューディオ、
http://www.steinway.co.jp/
■ カワイ
 
技術革新に積極的なカワイ
ウルトラ・レスポンシブ・アクションU(
主要部品に炭素繊維入りABS樹脂を採用し、精度、強度、耐久性、環境変化に対する安定性を高めた。)、カーボン入りポリアセタール樹脂製のジャック、複合素材を組み合せたハンマーシャンクを利用する等、新素材を採用したアクションを搭載。
アップライトピアノ |
機種 |
高さ |
重量 |
ハンマー |
トーン
エスケープ |
白鍵 |
黒鍵 |
アリコート |
アグラフ |
K-2 |
114cm |
200 |
カワイ |
- |
アクリル |
フェノール |
- |
- |
K-3 |
122cm |
220 |
K-5 |
125cm |
223 |
カワイ(オールアンダー入) |
○ |
人工象牙 |
人工黒檀 |
前 |
K-7 |
125cm |
232 |
K-8 |
132cm |
260 |
ロイヤルジョージ
(英国製フエルト) |
前・後 |
○ |
グランドピアノ |
機種 |
奥行(cm) |
|
機種 |
奥行(cm) |
GM12G |
150 |
RX-5 |
197 |
RX-1 |
164 |
RX-6 |
212 |
RX-2 |
178 |
RX-7 |
227 |
RX-3 |
186 |
EX |
276 |
※上級モデルの「シゲルカワイ」シリーズもある。
■ ザウター(SAUTER)
約190年前の1819年に家具職人ヨハン・グリムがドイツ・シュヴァルツヴォルトの針葉樹の森に囲まれた工房でピアノの製造を開始したのが「ザウターピアノ」の始まりです。 現存するメーカーとしては、世界最古のメーカーです。 創業以来6世代にわたり、熟練したピアノマイスターの技により、ドイツの材料を用いて、一台一台丹念に作り上げられています。
ザウターはアップライトピアノの技術革新にも意欲的なメーカーで、R2アクション(アクションにハンマーの連打を促すバネを付加し、グランドピアノ並の連打性能を持たせる機能)の搭載、サウンドボードを大型化して豊かな音量を出す、アップライトピアノの開発などがあります。
響板材は北イタリアの南チロル地方、フィーメの谷で成育したトウヒ材を使用しています。このトウヒ材は特に均等に細かく詰んだ木目を持つことで知られ、それゆえにイタリアのヴァイオリン製作者に、特にストラリヴァリ家から好んで使われました。この高価な響板材を利用した機種もあります。
また、ハンマーはアーベル(ドイツ)製を利用しています。
ザウターピアノの音色は伝統ある手作りのピアノならではの明るい音がします。 大量生産では絶対に真似できない魅力的な音が、ご家族を優しく包み込んでくれることでしょう。
価格もドイツ製の手作りピアノの中では比較的お求めやすい設定です。 良いアップライトピアノをお探しの方にお奨めします。
http://www.sauter-pianos.de/japanese/home.html
■ ぺトロフ(PETROF)
ペトロフは1864年チェコで創業したメーカーで、今やヨーロッパ最大のピアノメーカーに成長しました。 チェコと言えば、「連作交響詩我が祖国、モルダウ」で有名な作曲家スメタナや、「交響曲、新世界より」で有名なドボルザーク、プラハ春の音楽祭が有名で、音楽的土壌のある国である。 ペトロフ社を歴史的に見ますと、第二次世界大戦により生産を中止し、1949年には国営企業化される等、紆余曲折しましたが、2001年に完全民営化されました。 近年、ペトロフの品質が飛躍的に向上しているのには驚かされますが、特に、タッチの肝である”アクション”を世界的に有名な老舗メーカーである、レンナー社に特注したことにより、軽快なタッチと信頼性のある品質のピアノに生まれ変わりました。
特筆なのは、「ペトロフの響板材と、外装の美しさ」です。まるで「宝石箱」みたいといったら笑われるかもしれませんが、アップライトの響板をご覧いただければ、素人目でもその材質の素晴らしさがわかると思います。 音色は、明るくて輪郭のハッキリとした音ながらも、ヨーロッパらしいエレガントな雰囲気が漂っています。
 
2004年にチェコは欧州連合(EU)に加盟するなど、豊富な資源を背景に目覚ましい経済発展を遂げている為、人件費が上昇しており、今後の値上げは必須と思われます。
【ペトロフ・アップライトピアノ(一部)】
・P-118(120万)
【ペトロフ・グランドピアノ(一部)】
・PVI-1480(350万)
■ 中古ピアノ
中古ピアノ選びは新品よりも難しく、目利きが必要です。
古いピアノの方が「木材の質が良い」とか、「作りが良い」とは限りません。
外観は綺麗にクリーニングされていても、肝心な内部の状態を判断するのは一般の方には難しいと思いますので、良く分からない状態での購入は避けてください。 納得するまで説明を受けることが大切です。 また、故障多発機種や、不適切な部品交換をしたピアノ、前所有者の管理が適切ではないピアノは、避けた方が良いと思います。
【中古ピアノ選びの前に、これだけは知っておきましょう!】
・予算が40〜50万円だったら、新品or中古、どちらが良い?
・消音ユニットは取付可能か?
【チェック ポイント】
・ピアノの内部を確認してください
・製造番号、製造年、機種は正確ですか?
・
ハンマーに弦を打った跡がありませんか?
・適切に部品交換が実施されていますか?(バットスプリングコード、ブライドルチップ等)
・響板に割れがありませんか?(多少のひび割れや、音質的に問題が無ければ大丈夫)
・ペダルは雑音が発生せずに、正常に動作しますか?
・鍵盤上面が水平になっていますか?凹凸がありませんか?
・白鍵が(変色を隠す為に)白く塗られていませんか?
・調律が合っていますか?
(写真:鍵盤等を外し、内部を点検中のピアノ)
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